シンガポールの免除規定の現状とは

  • 2020.03.06
  • 2020.03.06
  • STO
シンガポールの免除規定の現状とは

シンガポールの免除規定


STO をシンガポールにおいて実施する場合、米国、EU/EEAと同様に免除規定 があり、調達金額や販売人数などに上限を設ければ目論見書(prospectus)の作成と登録義務が免除されます。シンガポールでは証券の規制を行う金融当局・シンガポール金融管理局(MAS)が中心となって、シンガポールにおける証券の免除規定を制定・運用しています。

免除規定


シンガポール で、目論見書作成と登録義務が免除されるSTOの募集要件・免除規定は以下のように4つあります。基本的に私募で行われるため、一般投資家への勧誘は禁止されています。

SFA272A Small Offers(少額募集)


一定の条件を満たした場合、12ヶ月間で500万シンガポールドル(約3.9億円)以下の調達が可能です。

SFA272B Private Placement(少人数募集)

一定の条件を満たした場合、12ヶ月間に50 名以下の少人数の投資家を対象にして資金調達を行います。日本の「少人数私募」相当。

SFA274 Institutional Investor(プロ向け募集)


機関投資家 (institutional investor) および一定の条件を満たす適格投資家 (accredited investor) を対象にしています。日本の「プロ私募」相当。

SFA275 Accredited Investor(プロ向け募集)


適格投資家(accredited investor)のみを対象にしています。日本の「プロ私募」相当。

参考

Securities and Futures Act – Singapore Statutes Online

適格投資家要件


シンガポール内で、免除規定に沿った私募に参加できる適格投資家要件は以下の通りです。
  • S$2M(約1.5億円)を超える資産を持つ個人であること。
  • 過去12か月の収入がS$300,000 (約2,300万円)以上ある個人であること。
  • 直近のBSにおいて純資産がS$10M(約7.7億円)を超える企業であること。
  • シンガポール金融管理局(MAS)認定の信託受託者もしくは個人であること。

発行届け出手続き

発行体要件


発行企業は管轄地(シンガポール)に法人登記がある必要があります。これはアメリカや欧州(法人登記が必要となる場合もあり)とは違う点です。

必要書類


SFA準拠の書類を届出て、MASから承認される必要があります。

申請期間


書類の提出後、承認までに2-3営業日かかります。

規制に対する方針・動向

方針


シンガポールのシンガポール金融管理局(MAS)は、金融ハブとして、既存のCapital Marketのルールの範囲内で、セキュリティトークンを規制していく方針です。また適宜、Sandboxを利用して、新しい取り組みも推進していきます。

動向


2018年11月に発行された「デジタルトークンオファリングガイド」においてセキュリティトークンが明確に定義されました。

参考

A GUIDE TO DIGITAL TOKEN OFFERINGS, MONETARY AUTHORITY OF SINGAPORE

市場動向

発行市場

iSTOX


シンガポールのiSTOX は、発行体/投資家の要望に合った仕組みで、規制を遵守したデジタル化証券を発行・取引できるようにするプラットフォームです。
iSTOXは、2019年5月1日からMASのFintech Regulatory Sandbox に参加、2019年4QにSandbox環境にて最初のデジタル化証券を発行、2020年2月にはRMO(Recognised Market Operatorator)ライセンスを取得してシンガポール初のデジタル化証券の発行・取引プラットフォームとして運用開始する計画です。
また、東海東京証券がシンガポール現地法人を通じて、iSTOXを運営するICHX TECHへの出資に係る契約を締結しました。本資本提携により、東海東京証券は日本の発行体/投資家のiSTOXへの取次サービスなどを検討していくとのことです。 シンガポールのSTO 取引所運営会社ICHX 社への出資に関するお知らせ

流通市場


シンガポールでは、セカンダリへの規制が明確になっています。以下のように最終的には、出資したセキュリティトークンを売却することが可能になっています
SFA 272(A)(少額募集)SFA 272(B)(少人数募集)SFA 274/275(プロ私募)
登録に必要な書類等272(A)準拠の届出272(B)準拠の届出275準拠の届出
流通市場での制限・再販は証券取得から6ヶ月経過後に可能
・勧誘不可
・再販は証券取得から6ヶ月経過後に可能
・勧誘不可
・譲受/譲渡発行時の50人に限定される
・適格投資家のみ、または適格投資家と機関投資家に限定
MASへの登録手数料N/A250 SGDN/A
MAS承認にかかる期間2 ~ 3営業日2 ~ 3営業日2 ~ 3営業日
備考・勧誘広告禁止・12ヶ月で取得者50人以下が該当
・勧誘広告禁止
・最低投資額は2,000万SGD

1exchange


シンガポールの1exchangeは、未公開企業の株式を適格投資家が売買できるようにするオンライン株式取引市場(RMOライセンスを取得)です。iSTOXのようにデジタル証券・ブロックチェーンに特化しているわけではありませんが、未公開株式の取引をイーサリアム・ブロックチェーンにて記録・管理しています。
第一号として、2019年7月10日に、シンガポールを拠点とするAggregate Asset Managementが約5.6M SGDの未公開株式が1exchangeにリスティング・取引開始されています。 Press Release: 1exchange, Singapore’s First Licensed and Regulated Private Securities Exchange Sees First Ever Private Listing

免責事項


本記事に掲載されている記事の内容につきましては、正しい情報を提供することに務めてはおりますが、提供している記事の内容及び参考資料からいかなる損失や損害などの被害が発生したとしても、弊社では責任を負いかねます。実施される際には、法律事務所にご相談ください。
技術・サービス・実装方法等のレビュー、その他解説・分析・意見につきましてはblock-chani.jp運営者の個人的見解です。正確性・正当性を保証するものではありません。本記事掲載の記事内容のご利用は読者様個人の判断により自己責任でお願いいたします。
     

免責事項

本記事に掲載されている記事の内容につきましては、正しい情報を提供することに務めてはおりますが、提供している記事の内容及び参考資料からいかなる損失や損害などの被害が発生したとしても、弊社では責任を負いかねます。実施される際には、法律事務所にご相談ください。

技術・サービス・実装方法等のレビュー、その他解説・分析・意見につきましてはblock-chani.jp運営者の個人的見解です。正確性・正当性を保証するものではありません。本記事掲載の記事内容のご利用は読者様個人の判断により自己責任でお願いいたします。

     

コンセンサス・ベイス(株)とブロックチェーン事業を行なってみませんか?

当サイトを運営するコンセンサス・ベイス株式会社は、2015年設立の国内で最も古いブロックチェーン専門企業です。これまでに、大手企業の顧客を中心に、日本トップクラスのブロックチェーンの開発・コンサルティング実績があります。

ブロックチェーンに関わるビジネスコンサル・システム開発・教育・講演などご希望でしたら、お気軽にお問い合わせください。

     
     

ブロックチェーン学習に最適の書籍の紹介

図解即戦力 ブロックチェーンのしくみと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書

ブロックチェーン イーサリアムへの入り口 第二版 (ブロックチェーン技術書籍)

本書は、ブロックチェーン技術に興味を持ったエンジニアや、その仕組みを学び、自分の仕事に活かしたいビジネスパーソンを対象にして、ブロックチェーンのコア技術とネットワーク維持の仕組みを平易な言葉で解説しています。この本を読んだうえで、実際にコードを書くような専門書、ブロックチェーンビジネスの解説書を読むことで、理解度が飛躍的に高まるでしょう。(はじめにより)

STOカテゴリの最新記事