HydraChainが、2015-09-09にコードをリリースしました。
非常に興味深いプロジェクトなので、ご紹介します。
HydraChain とは?
どんなものかと簡単に言うと
- Ethereum for Enterprises 表現している通り、企業向けEthereum
- Ethereumの拡張: ビットコインにおけるOmni/Counterpartyのような拡張と考えると理解しやすいです。
- HydraChainは、Pythonで書かれている
- Permissioned Distributed Ledgers (いわゆるpermissioned-on-permissionlessと思われる)
- プライベートか、コンソーシアムなチェーン
- byzantine fault tolerant コンセンサス
- Pythonでコントラクトを書ける (Solidity、Serpentもサポート)
- Ethereum Virtual Machineをバイパスして早いスマートコントラクトを実行できそう
- Atomic Cross Chain Asset Transfer プロトコル: カスタム・プライベートチェーンが、他のチェーンとやり取りできる (EthereumやBitcoinネットワークのようなパブリックなネットワークでさえも)
- brainbot technologiesとEthereumプロジェクトの合同開発の結果
- MIT license
何に使うか?
- スケーラブルなブロックチェーンが必要な場合
- コスト削減したい場合
- レギュレーションへの対応が必要な場合
- プライバシーやアカウンタビリティへの対応が必要な場合
- 早いスマートコントラクト実行が必要な場合
- 参考: Smart Contract and Blockchain Consulting for Enterprises | HydraChain
前提知識
上記の説明は、HydraChainに書かれています。最先端のブロックチェーン業界では常識とされる言葉がいくつかありますが、日本ではまだ紹介されてないと思われるので、簡単に説明します。 ここ数ヶ月ブロックチェーン業界でかなり熱い分野なので、時間ある時に詳しく説明しようかと思います。
Permissioned/Permissonless
- permissioned: 許可が必要なブロックチェーン、レジャー
- permissionless: 許可が不要なブロックチェーン、レジャー
- 例えば、BitcoinやEthereumは、マイナーもユーザも参加に許可がいらないので permissonless ブロックチェーン
- Permissonedのブロックチェーンの場合、取引を承認する、ユーザが参加するのに許可が必要と、設定することが可能 (MultiChainなど)
permissioned-on-permissonless
文字通りですが、permissionlessなブロックチェーンの上のpermissionedなもの言います。 HydraChainの場合、Ethereumというpermissionlessなブロックチェーン上に、EthereumのContractでHydraChainというpermissionedなledgerを作ります。
プライベート/コンソーシアム/パブリック チェーン
Vitalikによるブロックチェーンの3つの分類です。
- パブリック・ブロックチェーン: 誰でも読み書きや取引の送信ができる。コンセンサス・プロセスに参加できる
- コンソーシアム・ブロックチェーン: 選ばれたノードによってコンセンサス・プロセスが決まる。(例えば、15の金融機関のうち、10の機関が必ず取引を承認するなど。)
- 完全なプライベート・ブロックチェーン: 一つの組織にしかブロックチェーンへ書き込む許可がないもの。読む許可は、パブリックか、任意の人に制限されているもの。
- 元記事: On Public and Private Blockchains – Ethereum Blog
Solidiy, Serpent
- Ethereum上でスマートコントラクトを書くためのコンピュータ言語です。
BFT (byzantine fault tolerant)
この用語は、ブロックチェーン業界の用語ではなく、コンピュータ・サイエンスの一般的な用語で、昔から理論と実装があり、大規模なデータを扱う企業等で利用されています。 BFTを大雑把に説明すると、多数のコンピュータのネットワークがある場合に、一部のコンピュータが、故障等でネットワークに間違ったデータを送ってきても、正常に動作するための仕組みです。
どういう時に、Proof of Work, Proof of Stakeを使い、どういう時にBFTを使うのか?などコンセンサス・アルゴリズムの話も、時間がある時に書きたいと思います。
感想
非常にざっくりと説明しましたが、なんとなくわかりましたでしょうか?
最近は、世界的な金融機関が注目している permissioned chain/ledger ですが、この数ヶ月で本当に色々なアイディア、概念、言葉が出てきていて非常に興味深いです。逆に言うと、このような概念もすぐに廃れるかも知れません。 このような技術がうまくいくか、利用価値があるか、流行るかは置いておき、ブロックチェーン技術の新しい世界を切り開いているのは間違いないので、今後も注目しつつ、実験やテストをしていきたいと思います。