DID(Decentralized Identifier)の最新動向

DID(Decentralized Identifier)の最新動向

はじめに


本連載では、ブロックチェーンを活用したDID(Decentralized Identity及びDecentralized ID)技術の概要と仕組み、現状について概観します。あまり表立って議論のテーマになることはないDIDですが、ブロックチェーンの金融エコシステムやWeb3の発展には欠かせない技術です。今回は2回目の記事として「 DID(Decentralized Identifier)」をテーマにDIF(分散型ID財団)、W3Cが規格化を行なっているDIDs、Microsoft社のION、デバイス認証に利用するOckam SDKを説明していきます。

DID(分散型ID)のアイデアを実現する取り組みの最新動向を以降では、紹介していきます。

DIF(分散型ID財団)とは

概要


DIFは、DIDに取り組む企業で構成された団体です。以下の加盟企業の顔ぶれよりブロックチェーン系スタートアップだけではなくマイクロソフトやIBM、アクセンチュア、NECなどの大企業が加盟していることがその影響力の大きさを物語っています。


GitHub : https://github.com/decentralized-identity

ホームページ : https://identity.foundation/

Medium : https://medium.com/decentralized-identity

twitter : https://twitter.com/DecentralizedID

主な取り組み

  • Identifiers and Discovery
  • Storage and Compute
  • Authentication
  • claims and Credentials

参考

https://identity.foundation/#wgs

DIDs(W3C)

概要


DIDsは、W3Cが提唱するDIDの仕様です。


参考

W3C Community Group Final Report

https://query.prod.cms.rt.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE2DjfY

Understanding Decentralized IDs (DIDs)

https://medium.com/@adam_14796/understanding-decentralized-ids-dids-839798b91809

W3Cとは


W3Cとは「World Wide Web Consortium」の略称で、Web技術の標準化を行う非営利団体です。W3CはTim Berners-Lee irによって1994年に創設され、Webで使用される技術を標準化し、よりスムーズな開発や品質向上を目標に活動が続けられています。 HTMLやXHTML、CSS、DOM(Document Object Model)やXML(Extensible Markup Language)など多くの仕様がW3Cにより公開されており、W3CにはIT関連企業を中心として400近くの団体が会員として加入するほど大規模な団体へと成長しています。

参考

https://www.internetacademy.jp/it/design/homepage/web-standardization-and-w3c-recommendation-process.html

設計目標


この仕様の設計目標です。
  • Decentralization(分散性)
    • 集中管理機関を排除
  • Self‑Sovereignty(自己主権)
    • 個人情報を自己管理
  • Privacy
    • 情報の開示を個人でコントロール
  • Security(安全性)
  • Proof-based(証明基盤)
  • Discoverability(発見可能性)
  • Interoperability(相互運用性)
  • Portability(携帯性)
  • Simplicity(簡易性)
  • Extensibility(拡張性)

参考

https://w3c-ccg.github.io/did-spec/

参考

https://medium.com/@adam_14796/understanding-decentralized-ids-dids-839798b91809

DIDワーキンググループのタイムライン

開始日2019/4/15
終了日2021/4/15

DIDsを構成する主要なコンポーネント


DIDsを構成する主要なコンポーネントは4つあり、「DID」・「DID Document」・「Verifiable Claims」・「Verifiable Credential」になります。以降では各部位を解説していきます。DIDのデータ形式はイーサリアムの公開鍵アドレスと同じなので、互換性があります。

DIDについてです。


DID Documents と Verifiable Claims についてです。


Verifiable Claimsについてです。


出典 : 『DID(Decentralized Identifiers:非中央集権型識別子)、Verifiable Claims(暗号技術で証明可能な個人・法人情報)とは?』より

その他の構成要素です。


参考

https://eventmarketing.blob.core.windows.net/decode2019-after/decode19_PDF_SE02.pdf

DIDsを利用した認証イメージ


以下ではDIDsを利用した認証の利用例を示しています。

MicrosoftのIONとは

IONの概要


IONはDIF(分散型ID財団)の一部として開発されており、かつW3Cが提唱するのDIDsを活用することで、DIDのための、新しいネットワークを開発しています。


whitepaper :  https://query.prod.cms.rt.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE2DjfY

GitHub :  https://github.com/decentralized-identity/ion

IONの仕組み 




出典 : Microsoft Decentralized Identityのwhitepaperより

https://query.prod.cms.rt.microsoft.com/cms/api/am/binary/RE2DjfY

Ockamとは


Ockamは、前出のDIDsやW3Cの規格とはまた違う「Ockam Blockchain」を開発し、DIDのプロダクトを提供しています。

Ockam : https://www.ockam.io/

ドキュメント :  https://www.ockam.io/documentation

GitHub : https://github.com/ockam-network/ockam

概要


デバイス登録



出典 : 図はOckam.ioのdocumentより一部、コンセンサスベイス社が翻訳

https://www.ockam.io/documentation#Device-and-Service-Registry

デバイスの認証



出典 : 図はOckam.ioのdocumentより一部、コンセンサスベイス社が翻訳

https://www.ockam.io/documentation#Device-and-Service-Registry

免責事項


本記事に掲載されている記事の内容につきましては、正しい情報を提供することに務めてはおりますが、提供している記事の内容及び参考資料からいかなる損失や損害などの被害が発生したとしても、弊社では責任を負いかねます。実施される際には、法律事務所にご相談ください。
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弊社(コンセンサス・ベイス株式会社)は、2015年設立の国内で最も古いブロックチェーン専門企業です。これまでに、大手企業の顧客を中心に、日本トップクラスのブロックチェーンの開発・コンサルティング実績があります。ブロックチェーンに関わるビジネスコンサル・システム開発・教育・講演などご希望でしたら、お気軽にお問い合わせください。

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