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はじめに
本記事では、DeFiエコシステム内のデリバティブに分類されるプロジェクトを紹介します。現実世界ではデリバティブの市場規模は株式のそれよりも大きいとされています。DeFiエコシステムの中でも、ゆくゆくは大きなパイを獲得する領域になるでしょう。多少難解で背景知識も必要とされる内容ですが、できる限り噛み砕いて説明していきます。
分散デリバティブの概要
デリバティブとは、株式・債券・金利・為替・などの一般的な証券や通貨売買の取引方法から派生してできた新しい金融商品のことをさします。例えばリーマンショックで問題になったCDO(Collateralized Debt Obligation)は、住宅ローンを証券化債権にし、それら複数の債権を一つの商品として合成したアセットであるため、デリバティブ商品の一種だと言えます。他にはオプション取引、先物取引などは言葉自体は聞いたことがある人の方が多いかもしれません。また、保険もデリバティブの一種として考えることも可能です。
DeFiにおける分散デリバティブは、まさにそのようなデリバティブ商品・取引をスマートコントラクトで実現したものです。少々難しいかもしれませんが、以下できる限りシンプル解説していきます。
一口にデリバティブといっても、先述したようにその種類は様々なものがあります。本記事で紹介するのは、DeFiエコシステム内でも最近注目されている予測市場・マージントレードの二種類です。
分散デリバティブのプロジェクト紹介
分散型予測市場
予測市場とは、未来のある出来事に対して予測を行い、その予測に賭けの要素を組み合わせた取引を行うマーケットです。DeFiの市場は基本的にオープンなので、賭けには誰でも自由に参加することができます。加えて、賭けのテーマを掲げて、ユーザーのお金を回収し、分配するといった作業を行う胴元がスマートコントラクトであるがゆえに、透明性や効率性のあるマーケットを作り出すことができます。・Augur(オーガー)
Augurは、投票によるガバナンスを通じて、このオラクルを分散化させようと試みています。具体的には、オラクルとなる主体に悪意のあるレポートを行わせないようなインセンティブ設計を、トークンのステークを用いて行なっています。
・veil(ヴェイル)
Augurはミドルウェア・プロトコルなので、veilのようにAugurコントラクトを用いた新しいアプリケーションがいくつもできてくる可能性があります。
・Gnosis(ノーシス)
分散マージンレンディング
マージン・レンディングとは、分かりやすく言うと「レバレッジ取引」のことです。他にもマージントレードや信用取引・証拠金取引などが該当し、そのようなデリバティブ取引所を分散的なスマートコントラクトで実現したものに、以下の様なプロジェクトがあります。・dYdX(ディーワイディーエックス)
・bZx(ビージーエックス)
分散型保険
・CDx(シーディーエックス)
CDxを活用すると、オープンなマーケットでトラストレスにCDSの発行・流通が行えます。CDx自体が今後どのように進捗していくのかは分かりませんが、スマートコントラクトを活用するとこのような取り組みが検討できるということは知っておいていいでしょう。
Ethereum × デリバティブの今後
ここまで、デリバティブ分野のDeFiプロジェクトをいくつか紹介していきました。まだまだ発展途上であり、マネタイズはおろかユーザーすらあまり居ないようなプロダクトが多い印象です。しかし、仮装通貨市場における取引所ないのトレードのうち、そのほとんどがFXなどのデリバティブであることを考えると、今後DeFiの中でも重要な地位を占める可能性があります。
今後、分散デリバティブは注目すべき領域でしょう。