9- その他のDeFiエコシステム・プロジェクト

9- その他のDeFiエコシステム・プロジェクト

はじめに

DeFiはいくつかの領域で活発に活動が行われており、総称して一つのエコシステムとして括られています。今回紹介する、分散ID/信用スコアリング、決済ネットワーク、ウォレットなどの領域も、これから活発化していくのではと予想しています。各プロジェクトを事例を踏まえながら解説していきます。

DeFiエコシステムの補完的領域

分散ID/信用スコアリング

金融取引には、リスクの問題がついてまわります。例えばDeFiのレンディングのサービスであるCompoundDharmaなどでは、利用者は必ず担保を差し出すことになっています。この担保は、利用者の債務不履行リスクに備えるためのものですが、もし借り手の貸し倒れリスクが予め分かっているのであれば、この担保を緩和することができると考えられます。 本記事で紹介するのは、上述した貸し倒れリスクを測るための、個人のIDとそれに結びつく信用スコアサービスです。このサービスを金融取引に介在させることで、貸し手は円滑に借り手の信用情報にアクセスして、金融取引に伴うリスクを軽減することができます。
現在この信用スコアリングの分野で最先端をいくのは中国のアリババが主導する芝麻信用というサービスです。Alipayに紐づいた芝馬信用はアリババグループのサービスを利用するとそのほぼ全ての利用情報がビックデータとして収集され、信用スコアを算出します。
分散ID/信用スコアリングは、芝馬信用の様なサービスをブロックチェーンベースにすることで分散的に運営することを目指しています。

メリット

1.個人情報の保護 芝馬信用の利用者は便利なサービスを受益するトレードオフとして、個人情報を企業に提供しなければなりません。一方、分散システムでは、集権的な企業の漏洩リスクを排除することができるため、そのトレードオフを解消できると考えられています。
2.金融包摂 インターネットにアクセスするだけで個人IDを作成することができる様になれば、既存の金融サービスから締め出されていた人々の金融アクセスを補助できます。
3.情報の非対称性を解消 リーマンショックの要因の1つに、個人の借り手のリスク評価が不適切だったことが挙げられます。信用スコアリングを正しくを行うことで、各金融取引のリスク評価を向上させることができます。

Bloomの仕組み

BloomはEthereumとIPFS上に作られた分散ID・分散信用スコアリングプロトコルです。個人のアイデンティティーの検証やリスク評価、クレジットスコアリングの算出などの機能を全てブロックチェーン上で構築しています。サービスは
どの地域からでもボーダレスに利用でき、個人のIDはセキュアに保護されています。

決済ネットワーク

現在日本では、特定の企業が提供するPayPayやLINE Payのような電子決済サービスが注目されています。現金が必要ない決済は非常に便利です。しかし、これらのサービスを利用するには、利用者のクレジットカードや個人情報を登録しなければならないというデメリットが存在します。ブロックチェーンを用いることで、個人情報を犠牲にせずに電子決済を行うことが実現できます。この用例にはビットコインそのものが該当しますが、ここでは、日常で利用されるマイクロペイメントに特化した決済ネットワークに注目していきたいと思います。

Request Networkの仕組み

Request Networkは、イーサリアムベースの分散型決済システムです。REQというERC20 Tokenを用いて、スマートコントラクトで決済を行います。誰でも支払いのリクエストと受け取りを安全な方法で行えます。ブロックチェーンを用いる為、グローバル決済や正確な会計、監査のサービスまで提供できます。究極的には、請求書、IoT決済、B2B、政府関係(税など)も決済システムに取り込もうとしています。

簡単な決済の流れ

1.ボブはアリスに支払いを求めて、リクエストを作成してそれをブロックチェーンに流します。 2.アリスのウォレットは自分宛のリクエストを探知して、その支払いを処理します。 3.ボブはアリスの支払いを受け取ります。
(図はRequest Networkwhitepaperより)

メリット

1.簡単 ワンクリックで完了します。様々な登録(銀行口座やクレジットカードなど)が必要ありません。 2.安価 トランザクション手数料だけがかかります。 3.安全 ブロックチェーン上で完了し、第三者は介在しません。

ウォレット

暗号通貨取引には、銀行口座やクレジットカードといった既存の金融システムの登録が必要ありません。代わりに利用者は自分の秘密鍵やアドレスをウォレットで管理して、様々な取引に対応します。利便性や安全性を考慮すると、取引ごとに利用者が自身のアドレスをコピー・貼り付けするよりも、そのウォレットが様々な暗号通貨支払いの必要なWebサービスやDAppsと互換性を持って、簡単なインターフェースの手順を踏むだけで取引が完了することが理想的です。このようにウォレットサービスは、Defiの中で最も基盤となる部分を担うことになります。

Balance

Balanceは、既存の銀行が個々に開発し、重複して行っていた金融業務を一元的に担うことを目指しているオープンソースなウォレットサービスです。イーサリアム・トークンやウォレット(例えばMetaMask)、レンディング、投資といったDefiサービスと互換性を持ちます。現在ベータ版が公開されています。

TokenPocket

TokenPocketは、スマフォのアプリとして利用できるウォレットサービスです。現在イーサ/ERC20/Dappsブラウザに対応しています。CryptoKittiesのようなゲームから、ForkDeltaようなDex、RareBitsのようなマーケットサービスまで対応しています。利用者は、イーサリアム・トークンの所持量や総資産額が簡単に確認できます。

既存金融システムを代替するためには

現状、上記3分野で実用化まで到達している例は多くはありません。しかしどの分野も既存の金融システムにおいては非常に重要な技術であるため、今後DeFiエコシステムの中では不可欠なインフラの一部となるでしょう。本記事で取り上げた例を現在最先端をいくフィンテック領域において当てはめると、前述のようにアリババ社は信用スコアリングやQRコード決済、そしてアリババ経済圏で利用できるアリペイのアカウントを提供していることがわかります。
DEXやレンディングような利潤性の高い領域とは違い、これらは一般の消費者が(すぐに利用する動機付けが弱い一方で)日常的に利用すれば実用性の高い分野です。また金融包摂されていない発展途上国の多くの人々が使う可能性も秘めています。これらの人々を巻き込んでいく事がこの領域の発展への鍵となるでしょう。

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