The DAOに関する間違ったニュースやそれにもとづく間違った認識を持つ方々が増えるのではないか、という懸念と、それによって日本の産業の遅れを懸念して記事を書きます。 ビットコインに関しても、間違った報道が非常に多かったですし、それによって間違った認識をしている人が、未だに沢山おり非常に残念な状況かと思います。
書いている人は何者?
念のため言いますと、Ethererumなどのブロックチェーン技術を使い、大手大企業様と多くの仕事をしている者です。つまり、プロとして仕事をしている専門家です。逆に、ポジション・トークじゃないかと、疑われも仕方がありませんが、言っていることが正しいかは、ポジション・トークをしなそうな中立的な方(学者の方など)の意見も聞いて下さい。
言いたいことを一言でまとめると
「The DAOに関する間違った認識による報道をしないで下さい。」ということです。
間違った報道の例
例は以下のような間違った報道です。
ビットコインの時と同じように間違った報道が、今後も増えそうと予想しています。
間違っている点
- Ethereumの不具合や問題が原因ではなく、The DAOのプログラムの不具合が原因です。
- 脆弱性があると指摘されていたのは、The DAOのプログラム(=コード、コントラクト)です。
- 不正送金と言えど、その暗号通貨(ether)は、まだThe DAOの中にあります。The DAOの中で不正送金はされていますが、まだ攻撃者の自由に動かせる状態ではありません。不正送金は、明確に間違いではありませんが、一般の方が持つイメージと違うかと思います。
基礎知識
まず、理解するのに必要な基礎知識
- Ethereum: 新しいスマートコントラクトや分散型アプリケーションのためのプラットフォーム。これだけでは意味がわからないでしょうが、ビットコインの機能を拡張した独自のプラットフォームとお考え下さい。
- Ether: Ethereum上で利用される内部トークン、内部通貨。
- DAO: 自律的分散組織 (一般名詞で、様々なDAOが存在します。)
- The DAO: DAOを実現した一つのプロジェクト、実装。150億円程資金をetherで集めた。Ethereumプラットフォーム上のプログラムとして動作。
実際に起こったこと
実際に起きたことは以下の様なことです。
- Ethereumというプラットフォームの、問題、不具合が原因ではない。
- The DAOにあるetherが、そこから分割したDAO(子DAO)に送金された。
- ただ27日間、攻撃者も子DAOからetherを引き出すことができない。つまり、27日間資金は子DAOにロックされている状態。
- Ethereumプラットフォーム側の対応案は、以下の2つ。まだ実行されるかも不明です。
- 現在、子DAOからetherを送金させないようにする変更をEthereumプラットフォーム側でするという案がある。
- その後、その資金を元に戻す変更をするという提案もある (ただ、コミュニティ内で意見が割れている)
ですので、流出はしていますが、盗まれたとは現状では言い難いです。 最終的にこの流出したお金がどうなるかはまだわからない状況です。
個人的見解
ビットコインやEthereumを代表するブロックチェーン技術は非常に新しい分野で、まだ成熟しているとは言い難いものです。問題や不具合を抱えるであろうことは、容易に想像できます。 インターネットが出てきた時にも、匿名で危険だ、こんな不安定なもの使えない、違法な情報の拡散ややり取りに使えるなど、多くの批判や問題があったように、ブロックチェーン技術においてもそのようなことが起きるでしょう。問題ばかりに注目するのではなく、この技術が問題を上回るメリットを世の中に生み出すのかという視点でこの技術を見て頂ければ幸いです。
そして、また日本が世界から遅れを取らないことを祈るばかりです。
もっと詳しく知りたい
端的に最小限でしか説明していないので、深くはわからないでしょう。 もっと知りたい場合は、下記ブログが詳しいです。
- 当記事がわかりにくいので、東さんがわかりやすくしてくれました
- 攻撃の図解もあり、わかりやすいです
- 攻撃の内容と対策案、ソフトフォーク・ハードフォークなどについて
- The DAOへの攻撃によりETH採掘者たちに突然突き付けられた決断 – ビットコインの情報サイトの運営者ブログ
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