トークン・タクソノミー・イニシアティブ/フレームワーク(TTI/TTF)とは

トークン・タクソノミー・イニシアティブ/フレームワーク(TTI/TTF)とは

はじめに


2019/04、EEA(Enterprise Ethereum Alliance)が中心となって、TTI(Token Taxonomy Initiative:トークン・タクソノミー・イニシアティブ)が発足しました。現在TTIでは、Microsoftを中心にTTIメンバによって積極的にトークンに関する共通の概念・用語・仕様の定義といった共通基盤(TTF、Token Taxonomy Framework)の策定が行われています。また2019/11/04には、Micorosoftによって、「Azure Blockchain Tokens(ABT)」というサービスが発表されました。ABT上では、TTF準拠のトークンを手軽に作成することができます。

本記事では、TTIが何を行う団体で、TTFをなんのために作成しているのか、TTFを利用してどのようなことが行えるのかについて解説していきます。

TTF(Token Taxonomy Framework)とは

概要


TTF(Token Taxonomy Framework)は、ブロックチェーン・プラットフォームやトークンの実装方法に関係なく、任意のトークンがどのようなものなのか、開発者・企業・法務関係者・規制当局が(非技術用語で)理解できるように、概念・定義・用語を定めた共通基盤となっています。

taxonomyは分類という意味で、TTFとは、トークンを分類して整理したフレームワークのことを意味します。

TTFが解決すること

共通基盤・トークン規格の標準化


ブロックチェーン・プラットフォーム(Ethereum 、Hyperledger、IBM、Intel、R3、Digital Assetなど)のトークンにはさまざまな実装が存在します。しかし技術サイドやビジネスサイド間での協力が不足しており、ブロックチェーン業界には、相互運用性や規制問題に対処するための共通基盤が存在しません。

この問題を解決するため、TTIはトークンのユースケースや分類法、用語、基礎となるテクノロジーに依存しない仕様を含むトークンの明確な概念・定義を策定し、それらをまとめてTTFとしました。

ブロックチェーン開発の容易化


TTIは、トークンに関する標準化した用語・定義を用いることで、ビジネスパーソンがトークンに関する用語や実装方法を理解することなく、トークンを利用したビジネスモデルやサービス・製品を設計できるようにしました。

ビジネスパーソンはデザインツールを使用して、コードを一切記述せずに視覚的にトークンを作成することが可能です。Token Taxonomy Framework(TTF)V 1.0を使用すると、企業や開発者は、業界の専門用語やコーディングを理解しなくても、再利用可能な業界共通コンポーネントのセットから新しいタイプのトークンを作成できます。

ブロックチェーン間の相互運用性の向上


トークンの発行や流通は、各ブロックチェーン・プラットフォームを越えて行われる必要があります。TTFで、トークンの標準仕様を作成し、規格に沿ったトークンが多く発行・流通することで、クロスプラットフォームトランザクションを将来実現し、ブロックチェーン間の相互運用性を向上させることが期待されています。

トークンへの理解(教育向け)


トークンの仕様に関するドキュメントの内容は誰でも(非技術者)理解することが可能です。なのでこのドキュメントは、トークンの仕組みや諸概念を理解する教科書になります。

Token Taxonomy Framework Overview
http://tokentaxonomy.org/wp-content/uploads/2019/10/TTF-Overview-1.pdf

複数のプラットフォーム用の1つのフレームワーク


プラットフォーム間で共通の仕様があることで、開発者は、その仕様に基づいて各プラットフォームで共通のトークンを実装することができます。またトークン発行者は、トークンのコードの生成や検証、認証を行なってくれるツールを利用して、簡単に任意のプラットフォームで仕様に基づいたトークンを作成することができます。さらにプロダクトチームは、TTFを用いることで、ビジネス要件に基づいて、特定のブロックチェーンを用いた実装を選択でき、プロダクトの市場投入までの時間を短縮することが可能です。

TTFが提供する内容


・ビジネス、技術、規制サイドの参加者がTTF(トークンに関する概念と用語の共通セット)を利用することで、トークンに関する共通言語を話せるようになり、マルチステークホルダー間の議論がこれまでより生産的になる

・トークンの定義やトークンを構築するための構成フレームワーク

・理解しやすいトークン分類階層(TCH)

・ユーザーが入力したメタデータとTTF構文に基づいて、ユーザーが求めるトークンを視覚的に表現し、TTFの定義に対応するようにそのトークンを作成する。

・Adhara、ConsenSys、Digital Asset、Enterprise Ethereum Alliance(EEA)、IBM、ioBuilders、Microsoft、およびR3の定義間で移植可能なパーツを備えた、再利用可能なトークン仕様になっている

・任意のプラットフォーム上でのトークンの実装例を提示する

TTFの事例

TTF準拠のトークンの具体例を紹介します。

AdharaおよびioBuildersEMoneyToken標準は、本番の支払いや決済システムで使用されています

参考
https://emoneytokenstandard.org/

Digital Assetは、DAMLスマートコントラクトでトークン化された資産にTTF標準を適用しています。

Microsoftは、Azure Blockchain Tokens(ABT)の TTFサポートを発表しました。これにより、ABT上で、TTF標準に基づいて準拠トークンを定義、作成、管理することが可能です。ABTに関しては、以降でより詳しく解説していきます。

TTIとは

概要


TTIは、交換可能性を備えるトークン(有形・無形資産)について、ビジネス向けに共通の定義・概念などの標準の策定を行う業界団体です。現在アメリカの企業を中心に、20社超のブロックチェーン企業や大企業が参画しています。

TTIのロードマップ


TTIは、EEA(Enterprise Ethereum Alliance)が監督する形で2019/04に開始しました。現在TTIに明確なロードマップはありませんが、今後もマイクロソフトやEEAが中心になって、TTFの開発が行われていくことが想定されます。

参考
https://entethalliance.org/participate/token-taxonomy-initiative/

TTIの最初の作業


5月に行われた最初のTTIの作業内容です。

・トークンの定義と各業界におけるユースケース

・ビジネス、IT、規制機関の参加者が使用できる共通のコンセプトと用語を作成

・トークンの定義と開発に使用する構成フレームワーク

・理解しやすいシンプルな Token Classification Hierarchy (TCH、トークン分類階層) の作成

・分類を視覚化するための TTF 構文を使用したメタデータのツール化、最終的に特定のプラットフォームの実装とリンクされる分類法に対応したトークン定義を表示および作成するためのツールのモデル化

・法的および規制要件の開示と情報提供に使用するサンドボックス環境

出典
https://blogs.technet.microsoft.com/mssvrpmj/2019/04/23/microsoft-driving-standards-for-the-token-economy-with-the-token-taxonomy-framework/

参加企業の一覧


以下はTTIに参加する企業の一覧です。

Accenture(EEAメンバ)
Adhara(EEAメンバ)
Banci Santander(サンタンデール銀行、EEAメンバ)
ConsenSys(EEAメンバ)
Digital Asset(EEAメンバ)
Hedera Hashgraph
IBM
Intel(EEAメンバ)
R3
Blockchain Reserch Institute(EEAメンバ)
Clearmatics(EEAメンバ)
Envision Blockchain(EEAメンバ)
Ernst & Young (EY、世界四大会計事務所、EEAメンバ)
ioBuilders
Itau Unibanco(EEAメンバ)
J.P. Morgan(EEAメンバ)KomGo SA(EEAメンバ)
Microsoft(EEAメンバ)
Web3 Labs(EEAメンバ)
FINRA
EEAに参加している企業は、希望すればTTIに参加することが可能になっています。

R3やIBM、Hedera Hashgraph、J.P. Morgan、Microsoft、ConsenSysなどの主要なブロックチェーン開発企業が複数参画しているのが特徴です。TTIの、これまでの業界内の対立を、共通仕様を策定・運用を通じて、乗り越えて行きたいという意図が伝わってきます。

また投資家保護や証券取引の透明性の確保、不正行為の摘発などを目的に、米国において証券会社などの行動を監視・規制する組織、FINRA(Financial Industry Regulatory Authority)が加入していることから、TTIが最終的に規制当局と対話を行なっていきたいという意志を持っていることが、伺えます。

Azure Blockchain Tokens(ABT)とは

概要


米マイクロソフトは11月4日、同社のクラウドプラットフォーム「Azure Blockchain Service」で利用可能な新機能「Azure Blockchain Tokens」(ABT)を発表し、プレビュー版を公開した。(現在はプレビュー版のため無料で利用できます。2019/11/12時点)ABTでは、TTFに準拠したトークンを簡単に作成・発行・管理することが可能です。

ABTで提供されるトークンとは


ABT上のトークンは、MSが参画するTTIが策定した標準に基づいて構築されています。ABTでは、TTIが策定した4タイプのトークン仕様を採用し、最初の共通規格として組み込んでいます。利用者は目的に応じてこれらのトークンの仕様から適したものを選択することで、共通規格に準拠したトークンを作成することができます。

コモディティ(Commodity)


石油やエネルギー資源にひも付け、その交換などに用いる。
https://tokentaxonomy.org/wp-content/uploads/2019/10/License-Diploma-spec.pdf

クオリファイ(Qualified)


国家資格の保有や駐車違反などの記録を証明する。
https://tokentaxonomy.org/wp-content/uploads/2019/10/EEA-Reputation-spec.pdf

アセット(Asset)


ユニークな芸術作品などが持つ固有の価値を示す。
https://tokentaxonomy.org/wp-content/uploads/2019/10/OriginalArt-spec.pdf

チケット(Ticket)


航空機のチケットなどが該当し期限を有し一定の価値を示す。
https://tokentaxonomy.org/wp-content/uploads/2019/10/ReservedTicket-spec.pdf

ABTでは、上記のトークンを一定の規格に準拠した形で発行できます。プライベートで仕様を決めておきながら、同じ共通規格を採用する他社のシステムとの相互運用性を容易に持たせることができるので、将来的なコンソーシアムの拡張などを見据えた際に強力なサービスとなります。

まとめ


本記事では、TTIが何を行う団体で、TTFをなんのために作成しているのか、TTFを利用してどのようなことが行えるのかについて解説してきました。

TTIには、ブロックチェーンの業界の有力な企業が複数加入しており、今後トークン化技術の普及に大きな役割を果たす可能性があります。またTTFの策定が進むと、トークン化技術を横断的に統合できるため、よりトークンの社会実装や業界の成長に貢献していくことになるでしょう。

公式情報


概念草案

https://github.com/token-taxonomy-initiative/TokenTaxonomyFramework

tokentaxonomyホームページ

https://tokentaxonomy.org/

マイクロソフトが Token Taxonomy Framework でトークン エコノミーの標準化を推進

https://blogs.technet.microsoft.com/mssvrpmj/2019/04/23/microsoft-driving-standards-for-the-token-economy-with-the-token-taxonomy-framework/

Azure Blockchain Tokens

https://azure.microsoft.com/ja-jp/services/blockchain-tokens/

TTI Framework Overview

http://tokentaxonomy.org/wp-content/uploads/2019/10/TTF-Overview-1.pdf

Framework Specification Drafts

http://tokentaxonomy.org/framework-draft-specification-library

トークンで動くブロックチェーンの未来を加速する

https://entethalliance.org/participate/token-taxonomy-initiative/

Token Taxonomy Framework Draft Specification Library

https://tokentaxonomy.org/framework-draft-specification-library/

関連記事


トークン分類に関する標準化仕様発表、マイクロソフトやインテル、JPモルガン、R3など参加

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https://www.coindeskjapan.com/26257/

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https://coinpost.jp/?p=116079

マイクロソフト、Azureのブロックチェーンにトークン発行機能を追加

https://crypto.watch.impress.co.jp/docs/news/1216697.html

Introduction to the Token Taxonomy Framework

https://medium.com/tokenhall/introduction-to-the-token-taxonomy-framework-1bc84daf5cc2

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