7-ST(Security Token)の概要・市場・STOプロジェクト紹介

7-ST(Security Token)の概要・市場・STOプロジェクト紹介

はじめに

ICOは仮想通貨バブルを生み出した一つのムーブメントでしたが、中身のないプロジェクトや詐欺が横行した為にバブルは崩壊し、規制も強化されて、トークンを用いた資金調達手段として現在はあまり用いられなくなりました。
昨今では、STO(Security Token Offering)がその代替となる資金調達手段として大きく注目されています。STはDeFiではないとの見方が一般的ですが、ゆくゆくはEthereum上の金融システムの一つの分野として大きな地位を獲得し、DeFiエコシステムにも大きな影響を及ぼす可能性があります。
本記事ではST及びSTOについて分かりやすく解説します。

ST(Security Token)の概要

セキュリティ・トークンとは、各国の証券法に基づき、有価証券をトークン化した資産を指します。証券とは株式・債券のような一般的なものから、デリバティブ資産や不動産を証券化したものなど様々ありますが、おそらくほぼ全ての証券は電子化・トークン化していく事になるでしょう。
本記事では、例としてSTO(Security Token Offering)を通し、セキュリティ・トークンのメリットやエコシステムの概観を見ていきたいと思います。
STOがICOと最も異なる点は、そのアセットが各国の証券法に基づいた”証券”であるか否かです。米国の場合はSEC(米国証券取引委員会)がSTOを規制しています。 上記から、STOはブロックチェーンやDeFiが持つ非中央集権化といった思想とは相反するものがあります。しかし既存の伝統的な資金調達方法をブロックチェーンの利点を活かしアップデートする可能性を秘めている為、クリプト業界だけでなく、既存の金融会社がSTO市場に参入するケースも見受けられる様になってきました。

STOのメリット

STOのメリットは以下のような点です。
・24時間365日解放されたオープンな市場と流動性の増加 ・所有権の分割 ・迅速な決済 ・コンプライアンスの自動化 ・アセット同士の相互互換性 ・既存金融機関などの仲介コスト削減 また、セキュリティ・トークンは、株式型・債券型・転換型・デリバティブ型など、いくつかの分類に分けることが可能です。

STO市場の概観

STOが行われる市場には、様々なプレイヤーが存在しています。セキュリティ・トークンのエコシステムは、現在カストディ、発行市場、ブローカー&ディーラー、法務サービス提供者、流通市場、コンプライアンスなど様々な領域が存在します(下図)。
(source by https://www.theblockcrypto.com/2018/11/15/mapping-out-the-security-token-ecosystem/
この中から本記事では、発行市場および流通市場について解説します。

発行市場

発行市場とは、株式や債券などの証券がセキュリティ・トークン化され、投資家が売買を行う市場のことを指します。
発行されるSTには、一般的なERC20トークンとは異なり、特定アセットに対する代替不可能性の搭載や分割、流通機能制限、KYC(本人確認)/ AML(マネーロンダリング対策)に基づいたホワイトリスト作成といった、既存証券と同様の性質が求められます。
それに対し、ST発行プロジェクトは自ら独自のスマートコントラクト規格を作成(※後述)するなどして対応しています。

流通市場

発行市場で購入された証券は、次にセカンダリーマーケットである取引所などで売買されます。トークン規格や法規制が異なるため、当然売買されるSTには一般的なDEXとは異なる取引所が必要になるだろうと想定されます。

プロジェクト事例

ここからは、実際に現在ST市場で注目されているプロジェクトを紹介していきます。

Polymath

Polymathは、最初にSTOという概念をクリプト市場に提案した最も有名なプレーヤーです。Polymathの設計は、内部トークンであるPORYを通貨として、STの発行に必要となる各種事業者をP2Pでマッチングさせるマーケットプレイスを提供するというものです。具体的には、法務サービス提供者や開発者、KYCプロバイダなどの事業者が参加しています。
ERC20を継承したST-20という規格を開発し、その規格に準拠したSTとして発行されます。Polymath自体もICOを成功させており、かつ既に15以上のSTを発行した実績があるため、今最も勢いがあるといっても過言ではないプロジェクトです。

Harbor

Harborは、特に不動産に特化した証券や投資信託(REIT)に特化しているプロジェクトです。R-Tokenと呼ばれる規格を採用しています。
Harborはユーザーが簡単に不動産関連のSTを発行できるプラットホームなども開発しています。既に展開したSTO例としては、サウスカロライナ大学の寮をREITとしてSTが発行されています。

OpenFinance Network

PolymathやHaborは発行市場の代表格となるプロジェクトでしたが、一方でOpen Financeは流通市場の注目株となっているプロジェクトです。Open Financeは、米国SECのブローカー・ディーラーの登録、および証券の施設取引所がATS(Alternative Trading System)ライセンスを保有しているST取引所であるという点で、非常に信頼されています。
ST市場の他のサービス・プロバイダ、例えばカストディ事業者やKYC/AMLプロバイダ、ブローカー、そして上述したPolymathやHarborとの提携も行なっており、エコシステム全体を巻き込んだ事業を展開していることが分かります。

ST(セキュリティ・トークン)とDeFiの今後

STはDeFiという文脈からは少しそれた領域に位置していますが、中長期的に捉えたときに、ブロックチェーンの金融エコシステムに及ぼす影響は大きなものとなると予測でき、かつ直近で最も注目され、競争が激化している分野の一つだったため、本シリーズにていわば番外編として紹介しました。
STO単体で見ると、投資アセットの多様化や、新しく効率的な資金調達の形式として実用化が行われると考えられます。
しかし将来的には、次の記事で紹介するようなDeFiのデリバティブ取引プラットホームでSTが運用される未来や、MakerDAOのDAI発行コントラクトであるCDPの担保資産として、安定性の高い社債などの債券が入ってくる未来など、STは多様な活用が予想されます。
ICOが幻滅された原因は、知識の乏しい投資家の参入によりバブルや詐欺が横行したためですが、既存の法規制に基づいたSTOではそのような失敗が起こる確率は非常に低いと考えられます。そしてSTOが普及すれば、よりDeFiに近しい新しい資金調達の手段が見出されるかもしれません。

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